GW 2022 #2

4㈬〜5㈭。こんなルートで走り、前々回書いた白馬の家を見に行きつつ、ツーリングを楽しんだ。一生忘れない、人生の大きな、強烈なターニングポイントの二日間となった。結論から述べると、とりあえず10月半ばまでその家に住むことになった、もっと延びる可能性もあるけど。ライダーハウス業は関係なく、普通に暮らす感じで。

家のキーをもらって帰ってきた。
時系列を追って話す。まずは白馬までの道すがら、長野県の筑北村で知人のケイコさんが経営する古民家宿「角屋(カドヤ)」に立ち寄った。
突然の乱入にも関わらず、ケイコさん(一番左)とスタッフさんたちが温かく迎えてくれて、お茶を頂きながら小一時間ほど談笑。

ケイコさんのバイクやスタッフのバイクでにぎやかな宿。おすすめです!
そしていざ、平地からガツン!山の立ち上がりが素晴らしい白馬へ。
Maylo(マイロ)の家に到着。白馬村のみそら野という別荘エリアにあり、その中でも閑静な素晴らしいロケーションだ。
まだ雪を抱く山を最近まで滑っていたのだろう。帰国直前で超快晴のこの日、Mayloの雪山ギアがたくさん干されていた。
いまだDIYでリフォームしている途中で見てくれは良くないけど、家の中は快適だしそんなことは完全に忘れるほどのメリットがある。
こんなことを書くと気を悪くする人も多いかもしれないが、もはや日本人の「理想の人生」として描かれている「新築一戸建てorマンションを買ってこそ一人前」という価値観はある種の洗脳で、ここにいるといかにおかしいかわかる。どこもかしこも人で溢れた場所で、建物がびっちり隣接し合う狭いウサギ小屋を、定年まで払い続けるウン千万円ものローンを組んで購入し終の棲家が決まり、その結果自らに大きな足かせをはめて仕事に縛り付けられる。多くの人が「そうしなきゃ立派な大人の仲間入りできない!」と信じて疑わずに行うこの行動は、どう考えても住宅メーカーその他のビジネスシステムを、ひいては日本の経済を崩さないための巧妙な罠だと思う。ウン千万円あるいはそれ以上かけて手に入れた家は、わずか一・二世代が利用して廃墟になるか潰し、また新しいウサギ小屋をウン千万円かけて建てる。広い土地の家を安く手に入れて、工夫しながら住み、改修や修理を自らすることで「自分の家」の愛着がさらに高まり、心身も若々しく健全に維持できて、よっぽどいいんじゃないか?
ガレージにバイクを停める。家の西側の壁は巨大な窓へと変貌をとげていた
まどを開けると、家と林が一つに
テラスに出ると、正面に若い桜の木が一本あり、まだわずかに花びらを落としていた
そんな場所で、ランチタイム。
バイクを見ながら食べたい!と思って、また出してみた。いい感じだ。
リビングの壁。Mayloがバイクで走った国々と日本国内の地図が。
FREERIDE YOUR LIFEと、Mayloのステッカーには書かれていた。そう、いつだって自分の道は自分で決められるように、誰もが自由に生きればいい。いま自分が歩んでいる道は、自分自身で選択した結果なんだから。社会が、常識が、仕事が、年齢が、とかは、すべて言い訳に過ぎないと思っている。今いる環境は全て自己責任で作り出した産物で、これから先もずっとそうだと理解すれば、誰しもが心のままに生きることを怖がらなくなるんじゃないだろうか。

ヘルメットラックのある玄関。
テラスの横には小川が流れ、いつでも川のせせらぎが聞ける。野わさびも穫れる。
家の前の通りはこんな感じ。
隣人は、白馬で白馬を飼うコウヘイさん。3年前はじめてここに来た時に知り合っていて、覚えてくれていた。白馬では知らない人がいないほど顔が広いらしいので、頼りになる。2ヶ月前に生まれたばかりのゆに子が超絶カワイイ。
Mayloの友人で三鷹に住むイギリス人Robさんが赤いGSX-S1000Fでやってきた。右のCLUBMANはMayloが日本で乗っているバイク。
三人で近所の温泉に行き、戻ってきて家でくつろぐ。右腕の内側にタトゥーが入っている俺は、温泉でなんか言われたら嫌だな〜っちょっと気にするのだが、Robさんは左の胸から腕の途中にかけて桜吹雪のような強烈なやつが彫られているけど、躊躇する素振りもなく堂々と入っていった。周りの客は嫌だっただろうな〜笑。

軽井沢のクラフトビールブルワリーで買ったというパーカーを着るRobさんとMayloと乾杯。二人ともかつては散々飲みまくっていたが今はほどほどに控えているそうで、その点も俺と共通していて気が合った笑 お互いのこと、バイクのこと、音楽のこと、人生の価値観について、似た者どおしでポジティブに語り合った。

翌朝。開放的なリビングでパソコンを触るSEのRoBさん。
開発した寿司アプリを披露してくれた笑
走りに行く準備をして。
この日いかに絶景の中を走ったか、写真たちから伝わるだろう。ざっくり白馬→戸隠→黒姫高原→妙高高原→滋賀草津道路→高崎→関越道で、峠を200kmぐらい走った。二人とも速いから俺もがんばる、レベルの近い人たちと走るのは楽しい。Robさんから「YUKIはテクニカルライダーだね、今まで走った日本人と違って走り方が大胆だよ」と言われたのは、嬉しかった。まぁ世界の道に鍛えてもらったから、当たり前なんだけれど。
実はRobさん、世界を舞台にDJもやっていたらしく、この日妙高の杉の原スキー場で開催されていたラスタ系のフェスに、彼の友人マルチェロがメインDJとして出演しているから行こうぜ!てなことで乱入。入口でスタッフに「ヘイ!マルチェロは俺のマブダチだぜ!?だから俺のマブダチのこの二人もマルチェロのマブダチってことになるんだから入らせてよ、チケット無いけどさ!」と一人あたり18000円のエントランスフィーをタダにしろとネゴる。スタッフは困惑するが最後はオッケーになった笑
主催者さんご苦労さまです。
この手のフェスにはありがちな手法で、二人ともHighに。俺もMayloから「旅する中で経験あるだろ?バイク乗れるか?」と薦められたけど、「まぁ何回かはあるし乗れるけど、いいや、ありがとう!」と断った。Mayloは「もう離れたけど、俺はずっとこんな世界で育ってきたんだ!でも日本では初めてだから、久々にサイコーだぜ!ごめん、ツーリングやめてここに残らせて」と途中離脱。
その後はRobさんと二人旅になり、暑いこの日でも10℃だった渋峠などを走り、帰ってきた。

こんな景色に負けないぐらい、素晴らしいものが心の中に手に入った。深いけど、次回書こうと思います。