The Decision is…

ロシアによるウクライナ侵攻はまだ終わりそうにないから、気を揉みながら待っているよりロシア人にコンタクトをとり、返信がきた。

以前もお世話になったバイクの通関をしてくれる人で、とても頼りになるため今回もこの人物にバイクを送る予定だったし、この人の協力ありきで考えていた。以下、原文ママ。

大変な状況下にも関わらず、こういうちゃんとした返事をくれて心から感謝する。このメールの後もやり取りをして、今回の非常事態とプーチン大統領に対する一般ロシア人の反応を引き出そうと試みたが、叶わなかった。政府にバレるとまずいから、下手なことは書けないのだろう。

バイクが輸送できて飛行機が飛ぶなら、リスク承知でロシアには行くつもりだった。

自分のロシア遠征計画を知っている人は、「いまロシアなんて絶対無理でしょ!」とか、「いま最悪のタイミングだね。。」とか言ってくれるが、そうかな?と思ってしまう。少なくともロシアという国を実際に旅して内情を見た俺の方が、現地の様子を若干リアルにイメージできる。

その上で、未来のことなんて誰もわからないから、いま行きたくて行けるなら行こう、と考えるのだ。

だって、2022年に世界の大国が戦争を起こすなんて、誰が予想していただろうか。

2019年末から騒ぎ出した新型コロナウイルスなるものを、2022年になってもまだ騒いでるなんて誰が予想していただろうか。

戦争している今行くのは最悪でやめた方がいい、なんて俺は考えない。ロシアに限らず日本も含めて、この先もっと動きにくい世界になるかもしれない。明るい未来に期待して先延ばしにしても良い方に転がるかはわからないから、いま行きたくて行けるなら行こう、と考える。

しかし、だ。

「戦闘地域からは8000kmほど遠く離れている。当然ロシア国内だからしわ寄せや影響は多く大変だけど、日本からバイクを送ることはできるし何とかなるから、請け負うよ。」

こんな返事が来ることを望んでいた。だが、その淡い期待は見事に打ち砕かれた。思えばこれは俺の心が欲していた声にすぎない。

一番肝心で土台となるバイク輸送の道が、途絶えてしまった。頭の片隅ではあり得るとは思っていつつ、突きつけられるのが嫌でロシアとコンタクトを取らずきたが、勇気を出して聞いた結果厳しい現実が待っていた。

一度熱くなってしまった心を冷ますのはなかなか難しい。溜めてきたエネルギーを発散しないと気が済まない。代案として、

①ロシアじゃない国での挑戦を見つけ、バイク遠征をするプラン

②もともとロシア遠征後の8月に予定していたモンゴルバイクツアーのアテンドの前後もモンゴルに滞在する。トータル2ヶ月ほどモンゴルを走りまくり、2022の夏はモンゴルに絞るプラン

③未完成状態の大きなモノ作り二つ、千葉のガレージとトライアンフのレストアを確実に終わらせる。そして千葉のガレージ近くに移住して今後の活動拠点となる広い敷地を手に入れる。また、日本で行ってみたい場所ナンバーワンの小笠原母島に行くなど、国内での活動に精を出すプラン

じっくりよく考えます。

VISION #3

ロシア渡航が最悪の状況となっている今、どうすれば目的を達成できるか、現実路線で考えてみた。

▶1. サポートカーについて

自動車メーカーの協力を取り付け、プロモーションと耐久テストを兼ねて、電動バイクのバッテリーを充電する性能を持つSUV(ex.三菱アウトランダーPHEVや、TOYOTAのRAV4ハイブリッドなど)を提供してもらおうと思っていたが、現状ではロシア遠征のスポンサード営業なんて不可能だから、サポートカーの無償貸与は諦めるつもりでいる。そうなると自分の車=日産エクストレイルT31型に決定、電動バイクのバッテリーチャージはDC/ACコンバーターと巨大容量のモバイルバッテリーでなんとかできそうだ、という気がしてきた。

【モバイルバッテリー】

【コンバーター】

問題は、サポートカードライバーの確保だ。手を上げてくれた人がいたがさすがにこの情勢下になって辞退、当然だろう。俺は夢のために命を賭ける覚悟をしてるけど、巻き込まれても構わないと思う人なんているわけがない。

ロシア人が所有する車&ドライバーを雇うという手段があるが、ハードな長旅の相棒は信頼できる車とドライバーが必要だ。日本レベルのクオリティで整備された車両と、100%意思疎通できるスタッフでないとトラブルが起きる可能性は高い。。

▶2.バイクについて

サポートカーの帯同が非現実的となった以上、一人で走るしかない。そうなると、給電ありき&荷物か積めないの電動バイクによるチャレンジは諦めざるを得ず、、、代案は?普段一番よく乗っているXT1200Zスーパーテネレが浮かんだ。電動バイクと比べ先進性や話題性は相当劣るけど、このバイクなら同じぐらい挑戦意欲を掻き立てられることに気がついた。もともと自身で困難や制約を課して、とてもじゃないけどやってみなけりゃわからないレベルにするために電動バイクを考えたが、このバイクならそれに足る。

左がテネレ、右がSUR-RON、車重の差は200kg以上

ガソリン満タン時の重量は260kg、荷物を積むとそれ以上の超巨艦。5年前の大陸横断挑戦時は、このビッグマシンでアフリカまでとても走りきれる気がしなかった(予想できない悪路とか修理パーツの入手しづらさとかで)からTT250Rで行ったが、今回の片道5000kmと骨の道ならば、今の俺なら何とかなるかもしれないと思えてきた。この5年間が、俺を叩き上げてくれた。オフロードでの戦闘力は非常に高いから、モンスター級の重戦車だけど乗りこなせればどこまででも行けるし、そう思えるぐらいに乗り慣れた。

また、5年前にロシアで会ったマガダンから来たライダーが乗っていたバイクが、旧750ccのスーパーテネレだったのだ。この時はじめて「マガダン」という言葉を聞き、地図を見てとても遠い場所だと思ったものだが、経験値とスキルが上がった今の俺ならば挑む意欲が湧いてくるし、ストーリー性がある。この挑戦をすることは、あのライダーと出会った時から決まっていたのか?そういう運命だったのかな、、、

こんなフル装備のロシア人ライダーと会ったのは、唯一彼だけ。それだけに、マガダンという街までの道のりの険しさを物語っていた。

と、いうわけで!XT1200Zによる単独行が最も現実的になってきました。

Keep on Rolling.

Go Ahead

ロシアが暴走をしてしまったが、短期間で終わると願って計画を進めている。入国不可能にならない限りは決行するつもりでいる。

まだ手に入っていないサポートカーだが、今日は普段お世話になっている日産のディーラーの方に初めて企画を伝えてみた。

ダメもとで狙っている、新型エクストレイルを発売前に借りる作戦は、そもそもまだ車の完成時期が全くわからないという理由でほぼ無くなった。

100V、1500Wクラスの電力を取り出せるSUVタイプの車で、バイクのバッテリーをチャージしながら進めればもちろんベストだ。しかしそれに拘らずに頭を切り替えて、予備バッテリーを4つぐらい持っていって宿泊先でチャージすれば、単に悪路に強い車でいいのでは?と数日前から考えるようになった。充電できる場所を把握して結ぶ走行計画がとても重要になるが、そのプランニングもワクワクしてきた。もしも町や村まで到着する前に全バッテリーが尽きたら、自転車も積んでおけば進める。その方が自転車業界も巻き込んでより大きな活動にできるし。

それを話したところ、日産の方は完全な電気自動車、100%のEVはどうですか?と言ってきた。それならば、いままさにWEBで受注がスタートしていて、これから販売となるARIYAのB9クラスの4駆なんて、メーカーからすればいいプロモーションの舞台になるから可能性は無きにしもあらず、だと。

結局どうしても街乗り限定なイメージの電気SUVを、こんなにタフなんだぜ!と既存概念をぶち壊すチャンスだと。

すごくいい発想だと思うから、さっそくこの週末にでも実車が展示してある横浜の日産グローバル本社ギャラリーに行って突撃営業してみようと思う。

今日は他にも、サポートカー本命の三菱アウトランダーPHEVを試乗したり、タイムトンネルでちょっとだけトライアンフの修理を進めた。

マイカーのエクストレイルと車格はほぼ同じだが、当然乗り味は隔世の感ありまくり。めっちゃくちゃ良い車で普通にほしい!
お次はトラ、カーボンだらけの汚れたピストンを、、
ピカピカにした!とりあえず早く乗りたいからこのまま再利用して、そのうち新品と交換する予定。

サポートカーの話だけど、最後の手段は今乗ってるエクストレイルで行くぞ、という決心もできた。

これであとは。自分次第だ。

Keep on Rolling.

Some million miles away

5月か6月(おそらく6月出発にすると思う)にスタートする、電動バイクによるユーラシア大陸最東端・デジニョフ岬到達チャレンジ。

旅の相棒SUR-RONのL1Eは2月17日(木)に納車予定、25日で40歳を迎える自分への大きな大きなプレゼントとなる。青が好きだけど、このバイクは赤を選んだ。これから狂熱をまとって命のやり取りが待つ世界に飛び込んでいくには、赤がよかった。こいつは俺の命を目的地まで運ぶか、それとも止めるか。いずれにしても燃やし尽くすんだから、やっぱり赤でいい。

今年はだいたい半分となるマガダンまでの約5000kmを、下記ルートで進む。三菱のアウトランダーPHEVをサポートカーとして併走させて、バッテリーを充電する計画だ。サポートカーはこれから三菱に、耐久テストとして一台提供してくれませんか!?とスポンサードをお願いする。

ウラジオストク→A:ヤクーツク=約3000km

A:ヤクーツク→B:マガダン=約2000km

ナビは3000kmを41時間と算出するが、時速75km/hで休憩なしで41時間ずっと走りっぱなしの計算だ。燃費ならぬ電費を考慮すると速度はせいぜい30~40km/hで走るとして倍の時間がかかり、1日の走行時間はせいぜい8時間とするとさらに3倍になるので、計算上では

41時間×2×3=246時間/約11日間

が目安となる。休息も含めると14日間が妥当か。その先の2000kmは、これも計算上では

246時間×2/3(3分の2)=164時間/約7日間

やはり休息も考慮すると10日間とし、合計で24日間で5000kmを走破という一つの基準が見えてくる。現実には、原野の中ではなくてなるべく村や町で夜を明かすようにしたいので、その情報を正確に把握してどこからどこまで進むのか、1日ずつを刻んだ進行計画を立てるのが次のステップだ。

なぜ、なるべく村や町で夜を明かすようにしたいかというと、食料と燃料の確保、野生動物からの防衛と安眠、情報収集や異文化交流(旅の醍醐味!)などが挙げられる。一日一日の負担や消耗を極力和らげて常に心と体に余裕をもたせ、いざという時に爆発させるための力を残しておくことが、先の見えない過酷な長旅を続けるコツといえる。

正直、いろんな苦労はするけど道があるんだし今年の旅はあくまでもプロローグ、まぁ大丈夫だろう!と軽く考えていた。が、どうやら想像よりもだいぶ過酷なことが、このサイトを見てわかってきたのだ。ヤクーツクから先マガダンまでの間は、通称「骨の道」と呼ばれる辺境の荒野に切り開かれた2000kmのダートらしい。

https://slownews.com/stories/9DWZ3Kn89zE/episodes/ocllFhf8LEA#3a831f7

こいつはアタックのしがいがあるな。

こういう難しさがないとやる意味ないぜ、軽くて走破性バツグンのSUR-RONの真価を試すいいチャンスだ!

と、さらに燃えてきた。

Keep on Rolling.